Interview
あなたからあなたに
Vol.08Mikako
ikawには、フィリピン語で“あなた”という意味があります。肌はあなた自身であり、あなただけのこと。あなたがあなたの味方でいること。あなたがあなたに寄り添ってあげること。
「あなたからあなたに」は、そんなブランド名に込められた“あなた”の物語を聞いてゆくインタビューコンテンツです。
第八回は、次世代ガールズユニオン・FAKYのメンバーとして活躍するMikakoさんが登場。グループではスタイリングを担当するなどファッションへの熱量も高く、モデルやファッションブランドとのコラボレーションなども精力的に行う彼女が、心地よい自分であり続けるために行っている習慣やマインドについて教えてもらいました。
———FAKYとして活動されるまでの経緯を教えてください。
きっかけは保育園のお遊戯会。人前で初めて何かを自分が発信した瞬間に、「あ、これで生きていきたい」って子供ながらに思ったんです。そこからずっと歌う、踊るということがただ好きだった。高校で音楽学校に通っていたのですが、2年生の時にFAKYのお話をいただいて、卒業と同時に上京してそこから10年間、FAKY一本でやっています。
———小さな頃から真っ直ぐ夢を追いかけてこられたんですね。お仕事以外の場面でも直感を信じるタイプですか?
そうですね。誰も何も分からない、わたしも分からない。だけど、直感で決めたことにはなんとなく根拠のない自信があります。高校生の時は不安もあったけれど、絶対に夢を叶えて、支えてくれたお父さんとお母さんを幸せにしたいという強い気持ちがずっとありました。
———これまでずっと走ってこられた中で、迷ったり揺らいだりすることはありましたか?
この10年近くずっとFAKYとして活動していくなかで、正直これからどうする?という時期もありました。それでもわたしはFAKYとしてやりたいことがまだまだたくさんあって、そのたびに「絶対いけるから、やろうよ!」と声をかけてきた気がします。それこそ根拠のない自信ですよね。壁が目の前に立ち構えていたとしても、面白くない?って逆に燃えるタイプなんです。こんなに落ちたらもう、あとは上がるしかなくない?っていう。気持ちさえあればなんでもできると思っていて、気持ちが腐ることは絶対に自分の中ではありえなかったから、自分との戦いとして乗り越えてきました。
———逆境をバネにモチベーションに変えるには、すごくエネルギーがいりますよね。
これまでに2回メンバー編成があったのですが、そのときは「無理だよ」とか、「何がいいの?」といった心ない言葉もたくさん浴びました。それでも、「これはわたしが選んだ道だし、選んでいく道」と思ってずっとやってきました。むしろ、そういった声をかけてくれる方はFAKYを見てくれているということ。そこは素直にありがたいと思っています。
———ネガティブな反応にも潔く向き合ってこられたんですね。
イメージって人それぞれじゃないですか。わたしのことを「すごいハッピーだね」という人もいれば、「何考えてるかわかんない」と思う人もいる。それって人それぞれだから、何を思われてもわたしはいいんです。わたしはこうやって表現したいからやる。でも、受け取るのはみんなだからみんなの考えることを受け止めますというマインドです。嫌いという人もいるかもしれないけど、今のわたしを好きって言ってくれる人もいる。だからこそ媚びたくないんです。誰かの理想に合わせてしまったら自分が分からなくなってしまうし、わたしは自分を見失うことのほうが嫌だから、自分が生きたいように生きることを大切にしています。
———それでも悩んだ時はどうしますか?
「これはこうしたらいいかな」と考えたら、とにかくやる。悩むときはとことん考えて、次の日に持ち越さないようにします。大切なのは自分と向き合うこと。良い自分とも悪い自分ともわたしは向き合いたいんです。あとは、家族や話せる人に話すこと。どうにもならないモヤモヤもあるけれど、話すことでスッキリするし、みんなの声が聞けたというだけで「いいや」って思えるんです。
———外側から見える自分と内側の自分にギャップを感じることはありますか?
感じます。ライブの後などにファンの子達から「Mikakoって強いよね」とか、「ちゃんと芯があるよね」とコメントをいただくことが多くあるのですが、わたしは自分のことを強いと思っていないんです。弱いからこそ強くあろうとしているというか、弱さと強さって紙一重だと思っていて。ステージに立つ時はわたしのなかの理想像があって、そのために日々なりたい自分になるために努力しているので、そこにはギャップを感じます。全然強くないし、みんなと一緒だよって。
———弱さを自覚しているからこそ、ファンの子達の気持ちも汲み取ることができるというのもMikakoさんの魅力だと思います。
だからこそ、ファンの子と直接会える時にはしっかり向き合いたいです。握手会で泣いて喜んでくれる子がいたり、ライブで一緒に感情を込めて聴いてくれる子もいるので。わたしを見て何を感じ取ってくれるかは分からないけれど、わたしもその子たちからすごくエネルギーをもらっている。だから、大丈夫だよって。一緒に手を取って頑張ろうねという気持ちです。みんなの代弁者として、何かを伝える瞬間に生きててよかったといつも心から思っています。
———生の感情がぶつかり合うってすごいことですよね。
そうなんです。そのときにしか出ない感情があるし、そのときにしかできない歌い方もある。つくづくライブは生きてるって思います。だからこそ、どのライブももう死んでもいいというレベルでやっていて、このライブで倒れてもいいというくらいのエネルギーで魂を全身全霊で持っていっているから、終わったあとは全部が抜けちゃう。でもそれでいい、それがいいってわたしは思っています。
———ライブが終わって抜けた自分をどうやって取り戻しているんですか?
わたしはライブ映像を観るようにしています。あとは美味しいご飯を食べる。それが大事ですね。
———逆にステージで全力でギアを入れるために、意識していることはありますか?
わたしはいつどんなお仕事が来てもいいように常にスタンバイできている状態でいたいから、お仕事で家から一歩外に出たら常にオンになっているかもしれません。もしも今ライブしてくださいと言われても、「やります!やりたいです!」ってなるし、常に準備万端な状態でいたいんです。
———オンの状態をキープするためにも自分の時間を大切にされているんですね。日々の中で一番好きな時間帯はありますか?
朝の時間が好きです。いつも6時くらいに目が覚めて、朝ごはんを作って食べたら、ちょっと歩いて近所のカフェで一人ゆっくりします。その時間が自分と向き合う大切な時間なんです。逆に、夜はすぐに眠くなってしまうので、理想は10時にはベッドインしていたいです(笑)
———いつも自炊されるんですか?
上京してからは極力自炊をするようにしています。なるべくちゃんと栄養が取れるものを身体に入れたいし、ご飯を作る時間も好きなんです。何も考えずにできるので、考え事とかも自然とオフになっている気がして。
———身体が資本ですもんね。
そうなんです。わたし一人の人生じゃなくて、メンバーやいろんな人の人生を一緒に背負っているから。わたしが崩れたら誰かに迷惑をかけてしまうので、管理は自分で責任を持ってやるということは自分の中で決めています。
———自分自身を良い状態にしておくためのルーティンが決まっているんですね。
よく言われます。自分では無自覚で勝手にやっている感覚です。周りの人に言われてはじめて、「ルーティンがあるんだ」と気がついたくらい。全然無理はしていなくて、そうすることが心地いいんです。
———美容で大切にしていることはありますか?
わたしはメイクをがっつりするよりも、クレンジングやスキンケアの方を重視しています。以前はそばかすもメイクでカバーしていたんですけど、ある時鏡で自分の顔を見たときに、「なんかバランスがおかしいぞ」って気になっちゃって。でも、「このそばかすがわたしじゃん」と気がついてからは、メイクはどんどんレスになっていきました。コンプレックスも出していったら好きになれたし、それをいいねって言ってくれる人も多くいてくれるようになって、素のままの自分をちゃんと愛してあげたい。だからこそ、素材である肌のケアは、毎日パックをしたりと気をつけています。
———日常で身近な幸せはどういう時に感じますか?
ご飯食べてるときとか、お風呂にゆっくり浸かっているとき、信頼できる人と話しているときやお散歩してるとき、洋服を選んでいるときも。言い出したらきりがないですね。それこそ夜にスキンケアをしながら「今日頑張ったかな」って自問自答していると、メイクと一緒に色々取れていくような気がして。「今日できるベストは尽くした」と勝手に感じる時間も好きです。
———では、Mikakoさんにとって心地の良い人はどんな人ですか?
ご飯をたくさん食べる人。身も心もヘルシーに生きている人ってやっぱりオーラでわかるじゃないですか。パンっとした何かがある人に自然と惹かれます。実際、周りのお友達もそういう人が多いです。
———いいエネルギーが引き寄せあっているんですね。グループではスタイリングを担当されたりとファッションのイメージも強いMikakoさんですが、衣装と私服での表現はそれぞれどのように考えていますか?
グループの衣装は本人たちの気持ちが動くかどうかを大事にしています。「これが着たい!」って思ってもらえないと、ステージでも気持ちが上がらないと思うから。逆に、FAKYの面白いところは一人ひとりはテイストが全然違うのに、5人が集まるとバランスよくエネルギーを発揮することができる。だから、色やアイテムで統一感を出すのではなく、みんなの個性を大事にするように心がけています。これは私服でもそう。トレンドはチェックするけど、常に追うのではなく自分が着たいものを着て、表現したい。わたしにとってはファッションも気持ちが大事なんです。
———確かに、FAKYはメンバーそれぞれに個性があって、衣装もバラバラだけどすごく一体感がありますよね。
そういっていただけるとすごく嬉しいです。そういう個性を大事にするグループにいれることが幸せだし、ほかのメンバーに対してそれぞれすごいリスペクトがあるんです。パフォーマンスの面でも助けをもらっているし、それこそエネルギーをもらっているので。面白いグループだといつも思っています。
———周りの人とコミュニケーションをとるうえで大切にしていることや意識していることはありますか?
グループでは、お互いに干渉しすぎない、尊重し合うということを大事にしています。本当に5人とも考えがみんな違って、一つのテーマに対してそれぞれ意見があるんです。でも、みんなお互いのことをリスペクトして譲り合うということを大事にしているから、自分の意志は伝えるけど無理強いはしない。ちょうど良い距離感を一人ひとりが持っているのを感じます。
———きちんとお互いに対するリスペクトがないとできないことですよね。
じゃないと10年もできないです。「ガールズグループって難しいよね」とよく言われるのですが、わたしは全然感じたことがなくって。他の4人を見ているのが好きだし、ずっと一緒にいても本当に楽しいんです。
———Mikakoさんのなかで今一番守りたいものはなんですか?
FAKYです。わたしは10年間ずっとFAKYとして表現を続けてきて、いつも背負って歩いてきたので、守るべきものがたくさんある。ファンの人もそうだし、チームの人もそうだし、メンバーもそう。わたし自身FAKYのことが大好きだから、やれるところまでやりたい。「もういいよね」って思えるところまで守り続けたいし、ファンの子達を裏切りたくないと思っています。
———大事なものの全ての軸にFAKYがあるんですね。
FAKYがあったからわたしも強くなれたし、逆を言えば弱いところも分かるようになった。それはすごく幸せなことだと思うんです。
———これからの夢はなんですか?
一番は色んな人にFAKYの楽曲を聴いてほしい。それで何かが変わる人がいてくれるのであれば、わたしはそれだけでいいと思っています。このエネルギーをたくさんの人に感じてほしいし、届けたいです。ほかにもプライベートもお仕事もやりたいことがたくさんあります。でも、やりたいと言うだけでは絶対に終わらせたくない。ちゃんと叶えてちゃんと向き合っていきたいです。今までもそうしてきたし、これまでも絶対そうなんだろうなって、自分の中に根拠のない自信があるから。口だけで終わらせたくないんです。
MIKAKO / アーティスト
1994年福岡県生まれ。黒髪ボブへアと美肌、ショートパンツに映える美脚がMikakoのトレード マーク。華奢なスタイルとクールなまなざしが際立つ彼女は異質な存在感を放っている。ファッションコーディネートを得意とし、メンバーのスタイリングをコーディネートすることも。FAKYのダンスプラクティスビデオの衣装はMikakoが全メンバーのスタイリングを監修する。一度決めたことは、最後までやり遂げる芯の強さが武器。ガールズ・ユニオンFAKYのメンバーとして活動中。
Instagram:@mikako_faky
Photographer /Takahiro Otsuji
Hair&Make up / Megu
Writer /Mikiko Ichitani