interview

あなたからあなたに - 村上佳菜子

あなたからあなたに

Vol.15村上佳菜子

ikawには、フィリピン語で“あなた”という意味があります。肌はあなた自身であり、あなただけのもの。あなたがあなたの味方でいること。あなたがあなたに寄り添ってあげること。


「あなたからあなたに」は、そんなブランド名に込められた“あなた”の物語を聞いてゆくインタビューコンテンツです。


第十五回は、フィギュアスケート選手としてオリンピックにも出場し、現在はタレント活動やかき氷店のプロデュースなど、幅広く活躍する村上佳菜子さんが登場。新たな挑戦を続け、明るい笑顔で周囲を照らす彼女に、選手時代から現在までの心身の変化、自分自身との向き合い方、そしてこれから思い描く未来について教えてもらいました。

———フィギュアスケートを始めたきっかけを教えてください。

6歳年上の姉がもともとスケートをしていたので、私はベビーカーの頃からスケートリンクに通っていました。母曰く、初めて氷の上に乗ったのは3歳くらいのこと。ありがたいことに、物心ついたときにはもう、お風呂や歯磨きと同じ感覚でスケートがそばにありました。毎日休みなく練習して、たとえどんなにうまくいかないときでも「やらないと気持ち悪い」という感覚でした。お風呂もそうですよね。ちょっと面倒くさいけれど、入ったら気持ちいいみたいな(笑)。

———本格的にフィギュアスケートの道を歩んでいくことを意識したのは、何歳くらいのことですか?

子どもながらにその先を意識したのは、小学3年生のとき。初めて派遣していただいた海外の試合で優勝したときに、「あぁ、ここからきっと、こうやって頑張っていくんだろうな」と感じました。

———思春期には環境や身体の変化もあったと思います。競技を続けることに迷いはありませんでしたか?

スケートがない生活というのは考えられませんでしたね。物心ついたときから続けていることだから、「辞めたら何をしたらいいんだろう」という不安の方が大きかったです。私の場合、初めて生理が来たのが高校3年生のときでした。大学1年生がオリンピックシーズンだったので、その頃までは、身体の大きな変化をあまり感じることなく競技に向き合えていたと思います。

———一方で、生理がつぎにいつ来るかわからないことへの不安もありましたか?

ありました。オリンピックの最終選考だった全日本選手権では、フリー当日の6分間練習を終えて、自分の滑走前にトイレへ行ったとき、生理が来ていることに気づいたんです。「どうしよう!」と思ったのですが、「見てない、見てない。何も来てない!」と、自分の中で記憶から消すようにして(笑)、なんとか乗り切りました。でも、その日は私のスケート人生の中で唯一、何かが「降りてきた」というか、ゾーンに入ったような感覚があったんです。だから、そのことに大きく左右されずに最高の演技ができて、オリンピック出場を掴み取ることができました。今振り返ると、すごく怖い状況だったなと思いますし、それでも滑り切ることができてよかったと思います。

———現役引退後、長く続いていた生理不順の背景に、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)があることがわかったそうですね。

引退を機に、一度きちんと診てもらおうと思って婦人科へ行ったときにわかりました。現役時代に生理不順だったのも、運動量や精神的な負担だけでなく、PCOSの影響もあったようです。診断を受けたときは、ショックというより、生理不順の理由がわかったことに安心しました。先生からも「子どもが欲しいと思ったときに治療を始めれば大丈夫」「それほど珍しいことではない」と言っていただいて。自分の経験を発信するようになってからは、同じように悩んでいる方や、PCOSと向き合いながら出産された方からもメッセージをいただきました。いろいろな言葉に支えられて、必要以上に思い詰めなくてもいいのかなと思えるようになりました。

———専門家や周囲の人に相談することで、気持ちが楽になった部分もありますか?

あります。私は少しでも気になることがあれば、すぐに婦人科へ行くようにしています。「恥ずかしい」「怖い」と感じる方もいると思いますが、もっと気軽に相談して大丈夫だよ、と伝えたいですね。結婚後は、友人に勧められて夫とカップルカウンセリングを受けたこともあります。カウンセリングは指導ではなく、対話を通して、自分でも気づいていなかったことを引き出してくれるような感覚でした。私は感情が表に出やすいタイプなのですが、一度立ち止まって気持ちを考えられるようになるなど、行動にも変化が生まれました。大人になってからも成長できるんだな、と感じています(笑)。

———村上さんは明るくポジティブな印象がありますが、ご自身ではどう感じていますか?

実は、すごくネガティブで神経質なんです。よく笑うのでポジティブなイメージを持っていただくことが多いのですが、少し疲れて真顔になっているだけで「機嫌が悪いの?」と言われてしまうこともあって。明るい自分を求められることが、しんどいと感じる時期もありました。

———不安になったときや、気持ちが揺らいだときは、どのように切り替えていますか?

選手時代は試合のたびにものすごく緊張して、直前まで泣きながら「出たくない」と言うこともありました。そこをどう乗り越えればいいのかと考えるなかで、「今の自分には何が必要?」と問いかけるようになったんです。あるとき、「この試合が行われていることを知らずに、ポテトチップスを食べながらテレビを観ている人もいるんだろうな」と考えたら、「みんなが見ているわけではないんだから、そんなに緊張しなくてもいい」と、急に気持ちが軽くなって(笑)。音楽や香り、考え方など、いろいろなものを試しながら、「今日はこの考え方なら楽になれる」と思えるものを、その都度探しています。

———現在は、アイスショーやタレント活動に加え、かき氷店「こおりのPOPPO。」のプロデュースにも取り組まれています。新しいことへ挑戦する原動力は何でしょう?

完全に母から受け継いだDNAですね(笑)。母も興味を持ったことには何でも挑戦する人で、私も「好き」で終わらず、何かを始めたくなるんです。「こおりのPOPPO。」では、好きなハーブやお茶と旬のフルーツを組み合わせ、私が本当に食べたいかき氷を夫と一緒に形にしています。現在はポップアップが中心ですが、いつか店舗を持つことが目標です。

———30代を迎えて、変化を感じることはありますか?

肌の変化をすごく感じています。それまではニキビがほとんどできなかったのですが、30代になってから顎に繰り返しできるようになりました。もともとアトピーもあるので、ニキビの薬を塗ると乾燥してしまうこともあって。以前より、自分の肌の状態を見ながらケアすることが必要になったと感じています。

———スキンケアで大切にしていることは何ですか?

とにかく水分が大切。化粧水を塗ったあとにベタつくのがとても苦手で、かゆくなってしまうんです。ikawの化粧水は、肌にすっとなじむのにベタつかなくて、すごく気に入っています。

———ikawのアイテムで、特に気に入っているものを教えてください。

日焼け止め美容液です。白浮きやベタつきが苦手で、それまでは日焼け止めをほとんど使ってこなかったのですが、これは驚くほどさらっとしていて、日焼け止めを塗っている感覚がありません。あとはikawのオイルも大好き。お風呂上がりの最初に使っています。そのあとの化粧水やパックが、より肌になじみやすくなるように感じるんです。もう3年以上使い続けていて、なくなると不安なので、周りにびっくりされるくらいストックしています(笑)。

———最後に、これからどのような女性になっていきたいですか?

ふと立ち止まったときに、「あぁ、幸せだな」と思えることをすごく大切にしています。年齢を重ねて、自分がおばあさんになったときにも「幸せな人生だな」と言えることが、私にとってのゴール。そのためにも、一度きりの人生、今やれることは全力でやっておきたいと思っています。私は失敗することが怖くて、不安になりやすいタイプなのですが、夫は真逆で「失敗してもいいじゃん」「なんとかなるよ」と言ってくれます。そのバランスがいいんですよね。「もうちょっとしっかりして!」と思うときもありますけど(笑)、彼の緩さに助けられています。これから先も、年齢を重ねることを楽しみにできる自分でいたいです。

村上佳菜子(むらかみ・かなこ)

プロフィギュアスケーター、タレント。1994年、愛知県名古屋市生まれ。2010年世界ジュニア選手権で優勝。2014年にはソチオリンピックに出場し、同年の四大陸選手権で優勝を果たす。2017年に競技生活を引退。現在はプロフィギュアスケーターとしてアイスショーに出演する傍ら、バラエティ番組などでも幅広く活躍している。また、夫婦でかき氷のポップアップユニット「こおりのPOPPO。」を手がける。

Instagram:@kanako_m_official こおりのPOPPO。:@koorino_poppo

photographer / kochi.
writer / Airi Nakano

 

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